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薬物犯罪について

 ここ数ヶ月の間、何人かの芸能人が薬物犯罪で逮捕されました。
 また、大麻事件で某大学の運動部員が逮捕された、という事もありました。

 薬物犯罪が悪いのは当然ですが、そもそもなぜ悪いのかはあまり語られていません。
 一部には「他人に迷惑をかけていないのだからいいじゃないか」という主張さえあります。
 実際、なぜいけないのでしょう?
 彼らの言う通り、ただの自傷行為という面もあります。

 現実的には、初期の薬物犯罪で他人に迷惑がかかることは少ないように思われます。
 問題があるとすれば、薬物の代金として多額の資金が非合法集団に渡ってしまうということでしょうか。
 そして、その資金を元にさらに大きな犯罪が行われていく…
 それが問題なのでしょう。
 ただしこれは、あくまで初期の状態です。
 薬物依存性があり、決して初期の薬物中毒で終わるということは無いでしょう。
 一度始めたら末期中毒になるまで続きます。
 一度でも使えば末期中毒予備軍です。
 さて、末期中毒になるとどうなるのでしょう。
 一般に知られているところだと、幻覚や幻聴が現れる、イライラして落ち着かず、精神的に不安定になり、自制心が無くなり、判断力が低下し、衝動的になる、と言われています。
 また、全身を虫が這うような感覚が襲い、カラダをかきむしるなどの自傷行為が現れるとも言います。
 自傷行為の方は他人には迷惑がかかっていないように思えます。
 問題は精神が不安定になり衝動的になる、といった方です。
 こちらは他人に危害が及ぶようになります。
 何もしていない人間に対して「攻撃された」と錯覚をして、いきなり他人を襲うこともあります。
 また、中毒になり薬物が欲しいのに金銭的な余裕が無く薬物が手に入らない場合は、判断力の低下と衝動性のもと、強盗などの凶悪犯罪を突発的に引き起こします。
 ガソリンを頭からかぶって自らに火を放ち焼身自殺を図る事もあるそうです。
 当然放火の危険性もあるでしょう。
 薬物犯罪は放置すれば無法地帯になる危険性があります。
 社会秩序を破壊する恐れがあるわけです。

 薬物犯罪を取り締まるのは当然として、それに対する刑罰はどうすべきでしょう。
 もちろん重い刑罰が課されているわけですが、日本の場合犯した罪に対して罰を与えて終わりです。
 「罰を与えれば自動的に反省するだろう」という楽観的な性善説で成り立っています。
 その結果、再犯率が非常に高いのですが…
 薬物犯罪者は犯罪者であると同時に薬物依存症の患者でもあります。
 罪を犯したから罰を与える、だけでは依存症は治りません。
 再犯を防ぐためにも依存症の治療を行わなければならないのですが、当然そこには反対意見もあります。
 「自分で勝手に違法行為をして依存症になった人間を、なぜ国費で治療しなければならないのか」という問題です。
 たしかにそうです。
 医師の処方のミスなどで薬物依存になった(例えばモルヒネ中毒や最近ではリタリンの過剰処方が問題になりました)のならともかく、自分で勝手に犯罪を犯して依存症になったのです。
 そんな人間の治療に税金を投入するぐらいなら、もっとマシな使い方がいくらでもあるだろう、という考え方もできます。
 しかし、この薬物依存を治療しないと再犯が起きる可能性が極めて高くなります。
 初期の依存ならともかく、回りに害が出るようになるのは困ります。
 社会秩序を保つためのコストとして、こういった薬物犯罪者への治療にお金を使うことも必要なのかもしれません。
 治療を行うことで再犯を防げば、非合法な集団の資金源を断つことにもなります。
 間接的にではありますが、治安の維持にも効果が出てくるのではないでしょうか。

 「罪」と「罰」
 罪を犯したものに罰を与える、それ自体は間違ってはいませんが、罰を与えてそれで終わりにしてはいけないのかもしれません。
 罪と罰という言葉があるため、罪に罰さえ与えておけば社会秩序は維持されると思いがちですが、実際には罪の対極にある言葉は罰だけではないのでしょう。
 罰の先にあるべきもの、償いや救済、治療や更正など罪に対して行うべき処置は、まだまだたくさんあるのではないでしょうか。
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